小川郷太郎の「日本と世界」

フランス柔道誌が震災の日本へ連帯のメッセージ

私がコラムを書いているフランスの柔道誌L’Esprit du Judo の2011年4・5月号は、最初のページに日本支援の特別社説を載せた。下部には日本語で、「頑張って日本! 皆応援します。」と書かれている。柔道を通じての日本への強い思いと日本人への温かい連帯感を表明していると思われるので、以下に和訳を付してご紹介する。

                               (小川郷太郎)

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我々は皆、日本人だ

我々がこれを書いていると現時点でも、日本に関する映像がテレビで絶えず放映されている。我々は全世界の人々と同様に、そこで起こっている考えられない悪夢のような画像を驚愕しながら見守っている。恐ろしい津波を伴う千年に一度とも言われる巨大地震の犠牲者の数はまだ分からないが、一万人を超える可能性がある。日本人は、その持前の克己の精神でそれに対応しようとしている。日本では地球上の地震の約3分の1が起こるのである。被災した心痛の中で、家族を失った人たちが、雪が降り半分水につかった瓦礫の中で遺体を探す。この恐怖と苦痛が想像を超えて長く続くのはあまりにも悲惨である。日本の多くの地域が何年にもわたって放射線により被爆するかもしれない脅威は実に想像を絶するものである。歴史上初めて原爆による軍事攻撃を受けた日本が、人類の教訓のために再び苦しめられなければならないとは、何という過酷で暗い皮肉であろうか。

私たちは事件の論評をしているのではない。私たちは日本人とともに涙する。彼らのために、そして我々自身のために泣いているのである。日本から涙でロワシー空港(パリ)に戻ったフランス女子柔道チームと同様、今回の悲劇は、我々が日本に対して抱く親近感によって我々の心に深く響くものである。日本は我々の一部でもある。我々の日常や我々の夢の一部でもある。様々な大会を通じて日本人の友人を持ち、あるいは日本での練習を通じて日本人の同士を持っているフランス人は多かった。濃密の差はあるにせよ、日本の柔道家と絆を結んだフランス人は数多く、我々はいま日本の友人の安否や被害の程度を案じている。我々は、それぞれのやり方で、柔道と柔道が語る日本人、それから日本の文化、世界中を魅了する日本の品格を称賛するものである。我々は日本人と兄弟であり、彼らの苦しみは我々のものである。我々は皆、日本人である。

私たちは願いをもっている。日本の人たちが過去において示したように、互いの団結を再び強め、試練に立ち向かい、これを克服することである。私たちは、大海の小舟のように緊迫した状態にある日本が、風の力を集め太陽を受けて、新たな時代の開拓者として今まで以上に強くなって再興することを夢見ている。最後に、我々は、海から現れ出た想像上の怪物がヒロシマとナガサキの悲劇を焼灼したように、日本人が得意とする空想の館において新たな種類のゴジラが現在の悲劇を焼き飛ばすのを見て笑うことが出来ることを願っている。

我々は、あなたたちと共にいる。

  ( « L’Esprit du Judo » 誌を代表して、エマニュエル・シャルロ、オリビエ・レミー)